燈台草の根

大学生による日記

夏は児童書の季節

 昔から、夏は児童書の季節だと、何となく思っています。もちろん、一年中楽しめます。
 だけど、やっぱり夏休みは特別です。半袖半ズボンに、水筒にはたっぷりの氷と麦茶を詰めて、あまり被りたくない帽子に、独特の匂いがする、日焼け止め。以前ならこの位でしたが、今夏は異常な暑さなので外遊びは危険かも。冷房の効いた部屋で本を読むのも良いものです。
 今回は夏の児童文学を紹介します。二冊とも今年初めて読んだものです。

『指ぬきの夏』エリザベス・エンライト
https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b269635.html
 主人公はとにかく元気で冒険好きな女の子、ガーネット。農園で生き生きと、明るく成長していきます。跳び跳ねてしまうような夏の幸福感が伝わってくる作品です。しかし、各地を転々としながら働く男の子、エリックの存在がぴりっと辛みを添えています。原住民や黒人への差別、農業の過酷さなどの描写がわりにしっかりあるワイルダーの「小さな家シリーズ」の舞台よりも時代が進みますが、それでもやはり当時のアメリカの社会の暗い部分がさらっと書かれています。作者自身による挿し絵が
とても良いです。

『ふるさとは、夏』芝田 勝茂
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=916
 この本はかなり有名ですよね。しかし、所謂「都会の子どもが初めて過ごす、田舎のちょっと不思議な夏休み」で終わらないのが強みだと思います。田舎に住む人々の閉塞感や政治との関わり合いがじっとりと迫ってきます。ジャンル分けをするとファンタジーでしょうか。

今年の夏もたくさん本を読めたらいいな。